夏の穂高連邦縦走2018(第2部)




今回の縦走の核心部である北穂高岳から涸沢岳の縦走を始めます。と、その前にまずは北穂高小屋に行き休憩や水の補給を行います。





08時05分
朝8時というと下界では早い時間帯と認識する人が多いと思いますが、ここでは感覚的に昼前という感じです。もうすでに大キレットを超えて来たという方もいます。
北穂高小屋のテラスは有名です。なぜかって、写真を見れば一目瞭然でしょう。槍ヶ岳を中心とした絶景を楽しみながら休憩できるわけです。富士山を除き日本一高いところにある山小屋ですからそこから眺める景色も日本一です。





08時36分
先ほどの北穂分岐から今度は奥穂高岳方面に進みます。
もともと浮いている岩が多く神経を使う場所ですが、小屋のスタッフの話によると先の台風の影響で土が出て来ているとのことでしたので、とにかく落石を発生させないように慎重に登って行きます。





08時42分
北穂高岳南峰からこれから進む稜線を見下ろします。
遠くから見るとわかりますが、まずは南峰からほぼ崖に近い登山道を三点確保を絶対に守りながら一気に降りて行きます。普段の生活では絶対にできない体験です。岩にマーキングがしてあるおかげでルートを外すことはありません。





08時49分
ここは写真だとわかりずらいのですが、完璧なナイフリッジで距離は短いですが横歩き(カニさん歩き)でトラバースしなければなりません。岩に○印が付いておりそこを通らないとクリアできません。印が付いている場所の方が困難に見える部分もありますが、結局は印の通りに行くのが一番容易です。というか印を外れると進めません。





08時56分
稜線ですから当然アップダウンがあります。
この部分はよく考えて登らないと手や足が届かなくて進めないということがあります。私も一番最初に来た時は苦戦したのを覚えています。





08時59分
ちょっとでも違う岩を降りてしまうと、とんでもない絶壁になってしまい身動きが取れなくなってしまいます。なのでこうやって丁寧にルートをマーキングしてもらえると大変助かります。
もちろんルート上の岩にはマーキングされていますが、角度によっては見えないことがあります。「よっこらしょ」と岩を超えると初めてマーキングが見えて来るということもあります。なので例えマーキングが見えなくても少し位置を変えれば見えて来ることがあるので焦りは禁物です。





09時03分
場所によってはそのまま進まず、一度大きく降りて直後に登り返すような場所もあります。何れにしても○印や×印は絶対厳守です。大抵の場合は「そこしか行きようがない」状況ですが場所によってはどっちに行けばいいか迷うこともありますので、そんな場合はまず岩にペイントされた○印を見つけることから始めます。





09時08分
それにしてもすごい岩ですね。一体どうやってこんな形になったのだろうか。
色々な大きさの形の岩がバランス良く重なっています。これが一個でも崩れたら完全に崩落してしまうでしょうね。





09時27分
稜線の信州側をトラバースしたり飛騨側をトラバースしたりして進んで行きます。写真の部分は飛騨側にかなりの角度で落ち込んでいる部分をトラバースする難所です。見ての通りほぼ自然の形のルートになっていますので、確実に岩をホールドしながら慎重に進んで行きます。
一般的な登山道だったら鎖がついていたかもしれませんが、地図にも危険なルートであることが記載されているように一般向けのルートではありませんので写真のような場所であっても補助具はありません。





09時36分
さて、しばらく進むと最後であり最大の難所である涸沢岳の登り返し部分が見えて来ます。完全に「壁」です。この壁を下からほぼ直登します。
大キレットの飛騨泣きもキツイですが、この涸沢岳の壁も辛いですね。





09時51分
最低のコルに到着。
ここはこの稜線で唯一ホッとできる場所です。この丸い看板が曲がっていました。なんでだろう?
ここから先は最後の登り返しなので、休憩や水分補給を行い来たる試練に備えます。と言っても直射日光が強すぎてそう長く停滞していられないというのも事実でした。





10時00分
まずは、最低のコルのすぐ隣の岩を登って行きます。これは単なる岩ですので特段難しいということはありません。強いていえば岩にペイントしてある○印が角度的に見づらい位置にあるのでどっちへ登ればいいか迷う部分があるということでしょうか。
ま、とりあえず一段登って見て先を見渡せばわかりますので、とにかく落ち着いて行動するのが一番です。





10時07分
次に涸沢槍に向けて登ります。
ちょうど先行する登山者と降りて来た登山者のすれ違いで登山者がたくさんいるのがわかるかと思います。
こういう崖の途中でのすれ違いは本当に困難です。この降りて来る登山者を安全なところで待つことにしました。ちょうど良い休憩にもなりました。





10時35分
降りて来た登山者と安全なところですれ違った後、今度は自分が涸沢槍に向けて登って行きます。要所に鎖が設置されています。場所によっては鎖を含めた三点確保で上り詰めて行きます。鎖はその人の技術によって一部分を使うか全部使うか判断します。慣れていると鎖を使う方が登りにくかったりする場合があります。逆に鎖がないと到底不可能という部分もありその辺の使い分けが大切だと思います。





10時43分
涸沢槍を登る途中で一息つける場所があります。地図ではD沢のコルと書いてある部分です。
朝4時過ぎから登り始め、しかもそのほとんどが岩峰というハードな行程ですので疲労も出始めています。高度3000mの稜線ですが強烈な日差しで岩肌が温められているので結果的には登山道周辺の気温は周囲と比べるとかなり高温になっていると思われます。事実、日が当たる部分は暑く、日陰になっている部分は涼しいです。





10時54分
ここが最後の岩登りです。鎖が貼ってあるのがわかるでしょうか?
この鎖はさほど長く続いていません。
なぜかって?
稜線が近いからです。
そう、この鎖が見えたら稜線はもうすぐそこです。ずっと岩場を登って来て体力的にだいぶ限界に近づいていますが、もう終わりが見えてきたわけです。





11時07分
涸沢槍絶壁踏破。
踏破などという大げさなものではありませんが・・・いや、踏破です。
涸沢岳から西に伸びる尾根があります。涸沢岳西尾根といいますが冬季に穂高に踏み入れるためのルートにもなります。今、涸沢槍の絶壁を登り詰めてこの西尾根に合流しました。ここまでくれば涸沢岳までは尾根を歩いて行くだけです。





11時13分
涸沢岳登頂
北穂高岳〜涸沢岳は2時間50分で踏破しました。地図上は2時間15分とされていますから35分プラスということになります。途中休憩も入れましたので、そう悪くない結果ではないかなと。ただし時間については全く考慮せずむしろ「自分のペース」を維持して来ました。





11時14分
涸沢岳から今まで自分が歩いて来た稜線を見返します。一番右上のが北穂高岳です。あそこからよく歩いて来たなと我ながら感心してしまいます。
後は目下に見える穂高岳山荘へ降りて行くだけなので涸沢岳山頂でひと時を過ごします。
さすがにこの時間になると雲が発生し始めています。この後穂高の稜線はほぼ雲の中に入ってしまい視界がなくなってしまいました。





そして、明日登る予定の奥穂高岳が大きく見えています。目下には穂高岳山荘の赤い屋根が見えています。いつも涸沢岳まで来ると雲の中に入っているのでこの時期にこのショットはある意味貴重です。それでも飛騨側(写真右)からすでに雲が出始めていますね。





12時22分
穂高岳山荘到着。
本日は大型団体の利用があるとかで大変混雑しています。食事も5回目がありその混雑ぶりが見て取れました。
昼食を食べた後、テラスでのんびりと過ごします。





18時47分
夕日が沈んで行きます。
この時間になると午後に覆っていた雲はすっかり抜けて再び青空が広がっていました。
さて、明日の天気はどうでしょうか。出発前の予報では今日ほどではないにしても大局的には好天の予報でした。ただ局地的に、特に山の天気としてはどうなるかは実際に明日になってみないと判断できません。明日に備えて早めの就寝をします。



記事は第3部へ続きます

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