夏の穂高連邦縦走2018(第3部)



夏の穂高連邦最終日。昨日とは違い早朝の天気は安定しており穂高の峰々に雲がかかることはありませんでした。ただし明らかいに湿度が高い状態であることが見てわかる状況で、下山後に降雨がありました。






04時25分
3日目
最終日も早目の行動を心がけます。
03時40分起床、04時00分出発でしたがほぼ定刻通りの行動になりました。
起床直後、3000mの高度であること、いきなり岩場の直登から始まることなどを踏まえて、最初はスローテンポで行動します。わかってはいて実際に対策しているのですがそれでもすぐに息が上がってしまい、コントロールの難しさを感じます。
山荘と山頂のちょうど中間上がりでようやくカメラがターゲッティングできる明るさになりました。





04時43分
ここは春に来ると2番目の雪渓になっていて地形がまるで変わってしまう部分です。アイゼンとピッケルを活用し必死で登った雪壁はとっくに姿を消し、安定した夏道が現れています。
すでに日の出の時間ですが低層いある雲のためまだ太陽が顔を出していません。





04時46分
雲の隙間からご来光です。
空の雲と日の出の赤で芸術になっています。常念岳はシルエットに近い状態になっていますね。
今日は昨日と比べると湿度が高いのか霞がかっています。





04時53分
奥穂高岳登頂
ちょうどこの時期は逆光になってしまいますのでフラッシュを使わないと黒くシルエットのようになってしまうので、特にスマートフォンで撮影するときは注意が必要ですね。





ジャンダルムが見えます。ジャンダルムの岩肌は季節や時間によってまるで色が違って見えます。今日はなんだか白っぽく見えるのは気のせいでしょうか。





笠ヶ岳方面です。
早朝というのもあるのかもしれませんが、霞んでいて幻想的です。





上高地方面です。
あまりにも湿度が高いせいか普段はっきり見える乗鞍岳がほとんど見えません。
多くの人が河童橋から見上げる穂高の峰から逆に河童橋を見下ろします。





湿度により全体的に白みがかっています。
それでも早朝から快晴で感謝感謝です。それでも山行中全く曇りがなく直射日光がずっと照り続けているのもどんなものかと思いますが、それはそれでよしとしましょう。





05時05分
前穂高岳に向けて歩き出します。早朝の3000mの稜線は気分が良いです。たとえ日本列島全体が猛暑であったとしても3000mの世界は違います。





05時10分
南陵の頭に到着しました。ここから先は一気に高度を下げます。鎖が3箇所ほどあり吊尾根の中でも難易度が高い部分です。
奥穂高岳から岳沢の行程でよく重太郎新道のことは話題に出ますが吊尾根についてはあまり話を聞かないような気がします。吊尾根は岩場のトラバースで中には角度のついた斜面を慎重に横切って行くような場所もあり重太郎新道に負けないくらいの難所です。





05時13分
かなりの斜面をトラバースします。どこを通って行けばいいのか一見不明ですが実際に現場に行けばマーキングがあったり踏み跡があったりして何と無くルートはわかります。ただしかなり技術が必要ですので安易に考えては行けないと思います。





05時43分
吊尾根を進むにつれ前穂高岳がだんだん大きく写るようになります。
写真を見るとそのまま稜線上を通って前穂高岳に行けそうです。以前は吊尾根から直接前穂高岳に上がるルートが存在したようですが、今は正規ルート扱いではありません。実際は右側に巻いていき紀美子平から前穂に上がって行くルートが正規のルートになっています。





05時43分
西穂高岳の稜線が見えています。自分の中では冬専用の稜線です。冬専用というのもおかしな話ですが、一般登山者が冬季に登れる唯一の穂高の山が西穂高岳です。なので必然的に冬に登る確率が高くなってしまうわけです。





05時53分
初日に宿泊した涸沢を見下ろします。テントの数が若干増えているような気がします。今日あたりはさらに幕営数が増えるかもしれません。
こうやって見ると涸沢も本当に広大なんだなと実感します。





06時14分
壮大な斜面に几帳面に道がついています。こういう場所は歩いていて緊張感がないのですが、気が抜けないように注意しないといけません。度々書いてきましたが山の事故の多くは気の緩みから来るものです。だから、奥穂高岳から岳沢に下りる場合は岳沢まで気を抜いてはいけません。





06時35分
紀美子平到着。ここは前穂高岳に登る道と重太郎新道へ下りる道と奥穂高岳へ向かう道に別れます。
まずは朝食を摂ります。吊尾根はゆっくり座って食事をするような場所がないので、毎年お腹が空くのは分かっていても朝食はここまで待ちます。朝食は穂高岳山荘定番の朴葉寿司です。しっかり腹持ちして満たされます。

さて、当初の予定ではここから今回4座目の前穂高岳に登る予定でした。しかし残念ながら体力的には問題ないのですが足腰が悲鳴をあげ始めており、頑張って前穂高岳に登ったとしてもこれから延々と下っていく重太郎新道でアウトになる可能性があったため、前穂高岳はキャンセルという苦渋の決断をします。

結果的には前穂高岳をキャンセルして時間を稼いだのは正解でした。上高地に下山して間も無く激しい雨が降ってきたので、これが前穂高岳に登頂していたら確実に重太郎新道を下山している途中で雨に降られていたと思います。





07時16分
重太郎新道は完全なる直登です。なので下山時もどんどん高度を下げていきます。最大斜度は50%を超える部分もあります。
森林限界より上は大変見晴らしが良く涸沢ルートとはまた違った意味で魅力的です。今回はシーズン中の土曜日だったからかも知れませんが、この重太郎新道を利用する人が多くなったような気がします。しかも団体登山客がおり、団体がいない最後の聖地と思っていたのが非常に残念でした。




08時13分
カモシカの立場に到着。
ここまで来ると岳沢小屋まであと少しですが、ここからが事故が多い地点になりますので最後の最後まで気を抜けません。ここから先は穂高の稜線のように崖を滑落するということは少ないかもしれませんが、いざ転倒すると段差を転げ落ちて頭部などぶつける可能性もあります。頭部を岩にぶつけたときにヘルメットを着用していないと深刻な事故になる可能性が高くなるでしょう。





09時15分
紀美子平から岳沢小屋まで2時間40分でした。かなり足に気を使いながら降りてきたので妥当な時間かと思います。
これから登って行く人、下りてきた人、それぞれが小屋で休憩しています。岳沢小屋は標高でいえば約2190mです。ここから標高1520mの上高地まで延々と下って行くことになります。特に難所はなく長距離との勝負です。





11時19分
最終的には上高地の散策路に合流します。
登山の要素があるのはここまでです。

さて、今年の夏の穂高縦走は想像以上に天候に恵まれ素晴らしい山行にすることができました。加えて自分の体力や体調のコントロールもすることができ、行程を優先させて多少無理していたスタイルから余裕を持った柔軟なスタイルにすることができました。ただし運動不足がそのまま現れた形にもなってしまい、常日頃のトレーニングの重要性も実感しました。

山は変わりません。季節が来れば白く雪をまとい、新緑が芽生え、木々は紅葉し、落葉して冬に備え、再び雪をまとう。時代が変わっても山は山であって時代によって山が変わることはありません。そう、人が勝手に山に入り、勝手に道を作り、勝手に小屋を建て、いつの間にか登山者で溢れかえっているだけです。
だからこそ、人が色々なスタイルで山に入り込んできたとしても山は変わりませんから人が山を通して感じる感動や喜び苦労や悲しみはいつの時代でも変わらないのかもしれません。



2018年8月2日〜8月4日








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