穂高の春2018(第1部)

3月の冬の西穂が終わってから山に登れていませんでした。そんな状況の中でこの時期の奥穂高岳の3日間の行程を組んだものですから、それはそれは大変な思いでした。
天候は初日は思っていたよりも天候の回復が遅れ雪が降るような有様でしたが、登頂予定日の2日目はよく晴れてくれて、まずまずの登山となりました。





08時09分
上高地は河童橋に到着。
地上天気図は高気圧の前面に位置していましたが高層天気図では気圧の谷(寒冷渦)の抜けるのが遅くて若干心配していました。しかしまー、こういうことだけはピタリと当たるものです。
雪混じりの霧雨です。雪なのでジャケット類は濡れません。
「初日上高地雨(雪)連続更新中」というわけで今回も雨(雪)からのスタートです。学生服を着た学生が河童橋を渡って来ます。修学旅行でしょうか。





08時49分
明神に到着しました。
この頃になると日が差して来るようになり、いわゆる「お天気雪」の状態になりました。
上高地で雪なのだから涸沢から上はまとまって降っているのでは? と一抹の不安を覚えます。表層雪崩にも警戒しなければならないですね。
まあ、早い段階で天候が回復してくれるのを願うのみです。

上高地から横尾の行程はその時によって、一気に横尾まで飛ばしていくこともあるし、今回のように明神、徳沢とそれぞれで休憩してゆっくり歩いていくこともあります。今回はゆっくり歩いて行って正解でした。






10時36分
横尾到着。
写真では写っていないのでわからないのですが実際は雪が舞っていました。流石に連休後の横尾だけあって登山者は数えるくらいしかいません。
今回は出発が少し遅くなったのでこの時間になってしまいました。朝食で買って来たおにぎりを急いでほおばり、足早に涸沢に向けて出発することにします。





11時09分
出発前に横尾大橋を見上げると、その上空は青空が見え始めています。つまり高い場所は晴れているということですね。もう少し頑張っていただきたいものです。何を頑張るのかわかりませんが。
さあ、誰もいない横尾大橋を渡っていざ涸沢に向かいます。





12時11分
本谷は橋がかけられていました。
事前に情報は得ていたのですが、こうやって見てみると明らかに雪が少ないというのがよくわかります。
通常だったら連休後のこの時期はまだ橋などかける状況ではなく、雪で厚く覆われた谷底を歩いていくのですが、今回はもはやそれは無理。本谷橋から先は夏ルートを登っていくようになっていました。





12時27分
夏ルートを進んでいきます。なので本谷橋を渡ったらすぐに急登になります。
気温がそんなに高くないので極端の雪の崩れはないですが、それでも春の雪なので慎重に歩いていきます。
しばらく進みますがほぼ雪の上を歩いていく様子でしたので早々にアイゼンを履いて楽をさせてもらいます。





12時49分
しばらく進んでいくと本来この時期のルートである谷底が見えて来ます。完全に融雪していて通行できるような状況ではありません。
思えば今年に入ってからは荒天は多かったものの積雪そのものは少なかったようなイメージがあります。気温が上昇して雨になったこともありました。異常気象なのか単なる今年の特徴なのか・・・





13時05分
しばらく登っていくと延々と続くトレースが見えて来ます。「あそこまで行かなければならないんだ・・・」わかってはいても実際に見てみるとその壮大なスケールに圧倒されそうになります。それでもトレースの先には穂高連邦が見え始めています。焦ることなくゆっくりと淡々と進んでいきます。





13時28分
涸沢が見えて来ました。そして涸沢ヒュッテも。
ですが「ここからが長い」ということは一度でも来たことがある方なら誰もがわかっているはず。積雪期でも無雪期でも。だから涸沢が見えて来たら「到着した」ではなく「ここからがスタートだ」と思うようにしています。
だいぶ晴れ間が見えて来ましたが穂高の周囲は雲で覆われています。奥穂高岳は完全に雲の中のようです。





13時44分
涸沢の全景が見えて来ました。この標高になると雪の量としては極端に少ないということはないように感じますがいかがなものでしょうか。そういえば山荘のスタッフに今年の雪の量について聞くのを忘れていました。

晴れたかと思ったら曇りになり、雪がチラついたりと忙しい天気です。暑くて暑くて夏用の薄いシャツ一枚になっていますが、さすがに涸沢に近づくとジャケット羽織った方がいいかなと思うようになります。でもいざザックを降ろそうとすると日が差して来て暑くなり、の繰り返しでした。





14時14分
広大な雪原にポツンと立っている看板。
ここから涸沢ヒュッテと涸沢小屋に分岐していきます。分岐するといってもルートがあるわけでなくどこを歩いていくかはその人の自由ですが、あえて苦労して踏み跡のない場所を歩く人はあまりいないわけで、それぞれの小屋の方向へ付けられているトレースをたどって進んでいきます。





14時33分
北穂高岳の方面です。こうやって下から見ている分には難なく登れそうに思いますが、特に最後の部分などは相当苦労するだろうなと思われます。いろいろな話は聞きますね。簡単に登れたとか、降りるときに死ぬような思いをしたとか。
いつかはこの時期の北穂高岳と奥穂高岳をセットで登ってみたいと思います。ただ、今回は2ヶ月近く山に入っていなかったので奥穂高岳を登っただけでだいぶ消耗してしまい、訓練不足を実感してしまいました。





14時38分
明日登るあずき沢です。見た限りではステップらしきものは無いように感じます。ステップが無い状況で上がっていく場合は雪の状況にもよりますが蹴り込みながら上がるので余計な体力を使います。一度だけそういうことがありました。ただ、例年誰かしろ早立ちしてステップを刻んでいくので、今なくても明日登るときには立派なステップが出来上がっているということが多いです。
もちろんステップありきではありません。下山時は風の影響でステップが消えているということもよくあることです。無くても上り下りできることがこの時期の奥穂高岳にいける最低条件といってもいいのではないでしょうか。





15時08分
本日の宿泊先である涸沢小屋に到着。
標識の手前あたりから急にペースが落ちてしまいこの時間の到着になりました。何気なく小屋の手前の最後の坂がきつかったりします。







さて、宿泊の受付をして着替えや荷物の整理をしたら、お楽しみのジョッキ生をいただきます。これが美味しい!
本当はこの景色を見ながら飲みたかったのですが、結構寒かったので小屋の中で飲ませていただきました。これは飲んだ後、テラスから見える前穂高岳の絶妙なショットです。 天候が回復して来ているので荷揚げのヘリが忙しく飛んでいました。





あらためてテラスからテント場を見ると涸沢は完全に雪に覆われていますね。麓は初夏の陽気で汗ばんでいるのに場所が変われば一面のスノーフィールドなわけで。

一般的には100m高くなると0.65℃下がると言われていますから、高度約2,500mの涸沢だと麓に比べて16℃近く気温が下がることになります。加えて上空の寒気が抜けきっていないのでさらに気温は低くなっているものと思われます。なので小屋の中にあるストーブが大変ありがたく感じます(そこか・・・?)





蝶ヶ岳の方面の天候はすでに回復していて綺麗な青空になっています。ということは明日は穂高の方面もこんな風に晴れてくれるか? などと期待を持たせてみます。山荘に掲示してある天気予報も晴れ時々曇りとなっていて、出発前にチェックした各種予報天気図とも一致しています。ただ気圧の変化を追った特殊な天気図(700hps鉛直P)では上昇流域(≒雲ができやすい)になっていて若干引っかかっているのですが。

明日の好天に期待を寄せて就寝することにします。




記事は第2部へ続きます。


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