穂高の春2018(第2部)


二日目はあずき沢を登り穂高岳山荘に到着した後、奥穂高岳に登頂するという一番メインとなる行程です。稜線に近づく頃には雲が多くなってしまいましたが、いざ登頂するとまずまずの状況になり一安心しました。





06時39分
二日目の朝、出発地点です。
快晴とまではいかないものの十分すぎるコンディションです。7時出発を予定していましたが少し早めて登ることにします。
このコンディションなら凍結の心配はないでしょう。この時間ですからまだ雪の崩れもないと思われます。





06時51分
かなりの人数が先行したものと思われ、しっかりとしたステップが刻まれています。

ただ残念だったのは、ザイテングラートを過ぎたあたりで3人グループがステップを崩しながら登っていたことでした。
もちろんステップがなくても登れるべきですが、せっかく有るものを崩す必要はないと思います。これはマナーの問題ですね。





06時51分
こちらは北穂〜涸沢岳間の稜線です。昨年夏は天候の関係で歩いていないので今年は踏破したいものです。
それにしても山というのは不思議なもので下から見るとなんでもないように見えますが、いざ稜線から見下ろすと手に汗握るような状況になってしまいます。





07時18分
一部デブリを横切っていきます。
中にはかなり大きな塊もあり、雪崩の恐ろしさが伝わって来ます。雪がある以上雪崩のリスクとは常に向き合う必要がありますね。





07時39分
振り返るとだいぶ高度が上がって来ているのが見てわかります。いわば究極の直登をしているわけですからね。
それにしても涸沢はスケールが大きいです。知らない人(登山をしない人)にわかりやすく説明するのに、お椀の底からふちに向けて登っていくようなものだと説明しています。上に行けばいくほど急になるという意味でそう説明しています。
事実ザイテングラートをすぎると斜度が増して一歩一歩を踏み出すのが大変になって来ます。





07時52分
ザイテングラートまでたどり着きました。
先ほども書いたように、ここからが斜度が増し本格的な直登になります。
右手の岩場が無雪期の登山ルートとなるザイテングラートですが、この時期は雪崩による危険がある場合を除きあまり使うことはありません。逆に穴が空いていたりして困難なこともあります。





08時10分
吊り尾根に目線が近くなって来ました。それだけ高度が上がって来たということですね。
標高も3000mに近くなって来ています。なるべく呼吸を乱さないように意識して来たのですが、自然と息が荒くなって来ているのがわかります。





08時34分
穂高岳山荘の手前、斜度が一番きつくなる部分です。
周囲の登山者も一気にペースダウンしています。さすがにこの時間になると雪が緩んでいる場所もあり、きちんと蹴り込まないと足元が崩れることがあります。もちろん大きな崩れはないですがそれだけでも余計な体力消耗になってしまいますので注意しなければなりません。





09時28分
穂高岳山荘着。
雪の中に埋まっているというイメージです。
実は一番最初に穂高岳山荘に来たのがこの時期でしたので、個人的にはこの状況が穂高岳山荘のイメージとして定着しています。なので無雪期の山荘前の広いスペースが逆に違和感があったりします。





10時01分
穂高岳山荘で休憩してから、最大の山場となる奥穂高岳へチャレンジします。昨年は凍結のため安全を優先して諦めました。今回はとりわけ計画を変更すべき要素はないので最初の岩場に向かいます。
無雪期は写真の岩場が最大の難所になりますが、鎖やアンカーボルトが打ち込んであり整備されていて高度感こそありますが、ここまで難なく来れるレベルの登山者にとってはハードルは低めになっています。
ただしそれは無雪期の話であり、積雪期は難易度が一気に数段跳ね上がることはいうまでもありません。





10時15分
最初の難所である岩場を切り抜けました。この時点で山荘はすでに目下の存在になっています。涸沢岳が目の前に大きく鎮座しています。奥穂高岳に登れなくても涸沢岳から眺める景色もまた一級品で素晴らしいです。





10時15分
そして、すぐに次の難所となる雪壁を登って行きます。
角度のある雪面をアイゼンとピッケルをフル活用して上り下りします。特に降りる時は「どうしてこんなところを登って来ちゃったのだろう」というくらい角度がついているように感じるので一気に恐怖感が出て来ます。
頂上付近にも同様の雪壁があり、この二箇所の壁の雪質によっては撤退しなければならない場合もあります(凍結・崩れなど)。





10時35分
雪壁をクリアすると山頂に向けて稜線を歩いて行きます。いつだか全く雪がなくアイゼンを脱いだほうが安全だったということがありましたが、今回稜線はしっかり積雪しておりアイゼンは必須の状態でした。
それでもアイゼンの刃が雪の下の岩に引っかかることも度々あり気が抜けない状態で、やはり春なんだと感じます。





10時41分
そして2番目の雪壁に到着しました。
写真ではそんなに角度がないように見えますがここが落とし穴です。実際はかなり斜度があるので降りるときに恐怖感が出て来ます。
ここまで来てアイゼンやピッケルを十分に使いこなせないなんて人はいないと思いますが、冬山等の道具を使えこなせる技術がないと上り下りするのは限りなく不可能に近いと思います。

この2番目の雪壁をクリアして軽く回り込むとジャンダルムの雄大な姿そして映えある山頂が見えて来ます。





11時10分
奥穂高岳登頂。





快晴というわけには行きませんが遠くの山までよく見えています。さすが日本第3位の山頂だけあって見える景色も貫禄があります。
麓は春、いや初夏の陽気ですが、3,000mの世界はまだまだこれから春が来るというイメージです。





ジャンダルムは雪をいただいていた方が貫禄ありますね。
冬季西穂高岳からは遥か彼方に見えていたジャンダルムがすぐそこに見えています。





その西穂高岳の稜線です。
登山道は一部しか見えませんが厳冬期に比べるとだいぶ雪が減っているというのがわかります。





上高地を見下ろします。
今日は河童橋から穂高の姿も良く見えていることでしょう。





吊り尾根、前穂高岳方面は雪で覆われていて一般登山者が立入れる状況ではありません。


さて、頂上からの眺めを味わったら山荘まで降りて行きます。
特に二箇所の雪壁を慎重に降りなければなりませんので気を抜かないようにしなければなりません。

無事に山荘まで降りて来て初めて一息つきます。

宿泊受付して一通り整えたら、明日は下山だけなので今日は夕飯まで一杯呑みながらゆっくりと時間を過ごします。宿泊者も一人だった昨年と比べるとそこそこ多かったのですが、それでもゆっくりできました。

翌日も天気の崩れはなく、吹雪のホワイトアウトだった昨年とは違い日差しが照りつける中、涸沢に向けて下りていきます。



穂高の春2018は見事に成功しました。


2018年5月10日〜12日







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