冬の西穂(2017年3月4日)


穂高の稜線は3月といえど気象条件は厳冬期そのもの。
それでも12月や1月とは違って穏やかな雰囲気になってきたというのが実感できます。また、好天に恵まれる機会も多くなってきました。
そんな中、今回はパーティーでの登山をしてきました。最初から目的地を独標にしてたのですが、雪面のコンディション等から考えると、それが正解だったかもしれません。





14時14分
ロープウェイ山頂駅に到着。
麓からは晴れ間も見えていたのですが、この標高は雲の中でした。予報では天候は回復するとのことでしたが、回復が遅れているようです。
例のごとく初日は山荘に登るだけですので明日に期待を寄せています。一通り準備が終わったら登っていくことにします。






14時21分
積雪量そのものは相当なものになっていますが、これからの時期は降雪と融雪の量が徐々に同じくらいになっていきますので、よほどのことがない限りはびっくりするような変化というのはあまりないかもしれません。
雪も12月ごろのサラサラな雪というよりは水分を含んだ重たい雪になっているイメージがあります。もちろん歩きやすさということだけを考えればその方が良いのですが、冬山のシーズンが終わりに近づいているというサインでもあり、何となく寂しい気がします。





14時41分
ロープウェイから山荘までは何箇所か見晴らしが良くて周囲の稜線が良く見える箇所があります。
今日は西穂高岳の稜線は完全に雲の中でしたが、笠ヶ岳方面は比較的眺めがよくタイミングによっては写真のように笠ヶ岳の稜線が美しく見えていました。
やはり良い景色が見えると思わず立ち止まって眺めてしまいますね。





15時26分
西穂山荘到着。
このタイミングではまだ山荘周辺は雲の中です。
天気予報では天候が回復するとのことでしたが回復が遅れているようです。今日は稜線に出る予定はないので、そのまま山小屋の中に入っていきます。





15時39分
山荘内に入るとすぐに目についたのは松本押絵雛。
そうか今日は3月3日の桃の節句でした。山荘の公式ページでも予告していたのをすっかり忘れていました。
3月といえど穂高連邦はまだ厳冬期同様のコンディションです。それでもこういった季節の飾りを見ると「春が近いんだな」と感じます。





17時27分
いつものように日本酒飲んで過ごしていると急に外が赤くなったような気がしました。
外を見て見ると何と先ほどまでの雲が嘘のように晴れて間も無く夕日が沈もうとしているではありませんか。
すかさず外へ飛び出しカメラに収めます。
宿泊者やテントの方々も皆、シャッターチャンスを逃すまいとカメラを構えています。冬山のご来光というのは数多く見てきましたが、夕日というのは運悪く一度も見る機会がありませんでした。今日はとてもラッキーです。






17時36分
そして乗鞍岳に夕日が沈んでいきました。
私はどちらかというと夕日の方が好きです。ただ、山で夕日が観れるというのはなかなかチャンスが少ないですね。どちらかというとご来光の方がチャンスが多いです。

さて、美しい夕日を見届けた後はパーティのメンバーや宿泊者の方々と談笑をします。気づけば消灯時間になってしまい、明日に備えて就寝することにします。





07時19分
翌朝は予報通りの好天。快晴とまではいかないものの、ほぼ雲はなし。
もう確実に春の空です。
すでに何組もの登山者が先発しているため安心感があります。
ただし今日は風が強いです。ということは粉雪が舞って雪面が滑りやすいというお決まりのパターンですね。ま、実際に登って観ないと何もいえませんので独標に向けて登山を開始します。





07時22分
さて、山荘裏手の丘を登っていきます。
予想通りの風が吹き付けてきますが、厳冬期の厳しさはありません。雪面も硬く締まっていてとても歩きやすいです。
朝一番なのでゆっくり上がっていきます。体が慣れないうちは無理するとすぐに息が上がってしまい効率が大変悪くなります。なので慣れるまでは意図的にペースを落として調整した方が良いです。冬の時期は特にそうですね。





07時26分
そして今日も西穂高岳の稜線が見えてきました。
いつもながらの素晴らしい眺めです。日の出の時間も早くなり、山荘で朝食を食べてから来るとだいぶ日が高くなってから登ることになりますのでコンディションも良い状態で登ることができます。





07時35分
丸山到着。
ここまで全く問題なし。バックの笠ヶ岳の稜線がとても綺麗です。
丸山には団体様ご一行が休憩していました。この人数で独標ですれ違うのは大変だなと、ふと脳裏に浮かんだので、ここでは休憩をせずに景色を見渡してからすぐに先へ進んでいきます。





07時43分
丸山から先の広大な稜線もコンディションに問題なし。細かことを言えば少し崩れ気味の場所や逆に硬くなりすぎている場所もありましたが、とりわけ問題があるようなコンディションではありません。

ただ、風が強いため所々で雪煙が舞い上がっています。写真でもギリギリわかるでしょうか。こうなると粉雪で滑りやすくなりますので慎重さが求められます。





07時59分
丸山上部の広大な稜線を登り切ると、一気に稜線が狭くなります。このころになると独標から先の岩峰が目前に迫ってきます。
今日は天気が良くて先まで見通せるので、独標から数名のグループが降りようとしているのがわかります。よく見るとピラミッドピークの雪壁上部にも登山者がいたりして、今日はみんな頂上まで行くのかな?なんて思ったりします。





08時16分
第12峰から独標を見上げます。
見た感じではさほど上り下りに苦労している様子は見受けられなので大丈夫なのかなと思いますが、こればかりはわかりません。
遠くから見ると、頑張れば登れるかな、と思えて来るのですが実際に取り付いて見ると想像以上の高度感に圧倒されてしまいます。特に独標から降りるときに恐怖感から動けなくなってしまうことが多く、今シーズンだけでも2回ほど下山補助をしました。

今回は、ご夫婦のうち奥様が独標には登れないと自己判断して独標直下で待機していらっしゃいましたが、このような判断に心から敬意を示したいと思います。





08時26分
前回は完全に凍り付いていた独標の岩も今回は暖かな日差しに照らされて乾いています。
前々回もそうだったので少し気になっていたのですが、間違ったルートにトレースが付いているのが気になります。
ルートが混んでいてそれを回避するために直登したのだと思われますが、知らない人が誤ったトレースを信じて登っていってしまうのが怖いです。よく周囲を見ればマーキングがされているのでわかるのですが、トレースがついているとそちらが正しいと思い込んでしまいます。
何れにしても変だなと思ったら一度降りてよく周囲を見渡して見るべきです。独標の直下は正しいルートを取らないと大変困難(初心者はまず不可能)になります。





08時30分
西穂高岳独標登頂。
遠くの方は霞んでしまって視界が効きませんが十分見応えがある景色です。
独標から先を眺めます。見えるだけでも多くの登山者が頂上に向かっているのがわかります。
今日の独標から先はリスクが高い予感がします。
ピラミッドピーク手前のトラバースやその先の雪壁を登る登山者の動きを見ていると特にそう感じます。
ここから先は技術や経験がものを言う場所です。


さて、我々は独標からの眺めを味わったら下山することにします。
やはり第12峰を越えるまでは気を抜けません。もちろん「気を抜ける」場所などどこにもないですが。何があるかわからないですから。

山荘まで戻って来ると、今日は登山者に甘酒が振る舞われていました。もうそんな季節なんですね。ありがたく頂戴します。

好天の週末。今日はおそらくたくさんの登山者が上がって来るのだろうなと想像します。山荘が混む前に下山することにします。下山途中、西穂高岳の稜線が大変美しく見えました。週末は好天に恵まれるとの話。もう安定期に入ったのでしょうか。冬の西穂シーズンも終わりに近づいてきました。



2017年3月4日





独標よりピラミッドピーク、西穂高岳主峰、ジャンダルムを望む







同じくジャンダルム〜吊尾根、前穂高岳







岳沢はすっかり雪の下







霞沢岳と目下に広がる上高地。まだまだ雪に閉ざされている







焼岳とその後方には乗鞍岳






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