春の西穂(2019年4月15日)



2019年3月は天候やその他のタイミングが非常に悪く登山できませんでした。
このまま今シーズンの積雪期の西穂高岳は終わってしまうのかと思いきや、3月後半になりまさかの大雪の連続。4月に入っても十分な積雪量があるということでこの時期に西穂高岳を入れてみました。





10時09分
いつもと変わらず登山者専用駐車場に車を止めます。すでに登山センター前の臨時駐車場は終了しており深山荘前の本来の登山者専用駐車場に止めます。
個人的には登山センター前にある駐車場は300円/日くらいで解放して欲しいです。

さて稜線に目をやります。
「あれ? 何だか厳冬期とあまり変わらないのでは?? 今は4月半ばだよね??」
噂通り3月後半にかなりの積雪があった模様。





11時04分
新穂高ロープウェイで登山口まで上がります。
この時期観光客は少なめですね。それでも大陸からの旅行者の方々がおり、英語で会話。何キロぐらいあるのか尋ねてきたので20Kgくらいと答えます。まあ、口が裂けてもその大半は日本酒だなんて言えませんが(笑)

さて、新穂高口の千石園地は前回と比べてあまり大差はないイメージです。どちらかというと典型的な春の雪で、雪というより氷に近い感じがします。
手短に準備を整えいざ出発します。





11時09分
毎度毎度の登山届出所。
今シーズンはどうなるかと思いましたが、最終的には屋根と地面が雪でくっつきました。
「雑談」のコーナーでこの小屋が雪に埋もれていく様子を紹介していますのでよろしければ・・・  って、宣伝してどうする〜!!

さあ、この標高でここまで積雪があるということはちょっと期待できるのでは??と思いつつ先へ進みます。





11時11分
本日の雪質ですが、先ほども書いた通り春の雪です。厳冬期では決してなかった融雪と凍結を繰り返した様子が見て取れます。
なのでアイゼンが非常に効率よく効いています。また週末は好天に恵まれたため多くの登山者が入山したとのことで、まるで春の涸沢を歩いているかのような感覚にもなりました。





11時26分
西穂高岳の稜線は完全に雲の中に入っています。
こういう光景はむしろ厳冬期のほうが多かったのですが、今シーズンに限っては好天に恵まれることが多く、今さら典型定期な厳冬期の穂高の姿を目の当たりにしている状況です。





12時02分
登っているうちに雪が降り出してきました。
ロープウェイ周辺の木々には着雪しておらず季節が進んでいる様子が見られましたが、ここにきて着雪が残っているのと、新たな降雪により徐々に季節が逆戻りしたように感じてしまいます。
ここからだと山荘までは10分から15分程度ですから、雪が降り出しても焦らず自分のペースで登っていきます。





12時09分
ダケカンバの白い幹が見えてくると山荘に到着です。
それこそまだ冬の西穂高岳に訪れる回数が少なかった初めの頃は、今どこにいるのかが把握できておらず「あの白い幹が見えたら山荘だ」と思っていたのを記憶しています。
今はGPSさえ不要なくらい現在地を把握できるようになり、ペース配分も効率よくできるようになりました。





12時11分
西穂山荘到着。
本日の宿泊者は1名。貸切です。
まあ、日本海低気圧が通過するような気象条件で年度の始め、週の始めという状況ではこうなるよな・・・ といった感じ。

少しでも天候が良ければ稜線に上がろうかと思っていましたが、すでに天気は下り坂、厳冬期風のコンディションだったので雪見酒モードに突入します。





08時15分
翌朝です。
昨晩のうちに寒冷前線が通過することはわかっていましたので、翌日は冬の気象条件になるだろうなと思っていたのですが、見事に当たってしまったようです。瞬間的に日が差すことはありましたが、基本的には1月や2月の状況と同じです。
写真を見ても年明け早々の写真だと言われても納得してしまう状況ですね。





08時18分
昨晩は予報通りしっかりと雪が降ったようです。
昨日とはまるで様子が変わっていました。
山荘裏手の吹き溜まり部分では最大で膝上まで積もっており、ごく一部ですがラッセル状態で苦労しました。
昨日まであったと思われるトレースを少しでも外れると、途端に膝くらいまで埋まってしまいます。





08時31分
山荘裏手の丘を上ると暴風が吹き付けてきました。また霧が濃くなり始め、まさかのホワイトアウトになり始めました。
風速は15〜20m/sくらいでしょうか。風の通り道になる場所では大股でピッケルを支えにして三俣で歩いていかないと進めないほどでした。
いや〜、これこそ望んでいた結末です。
このブリザードが自分には心地よいです。





08時43分
独標までと思っていましたが強風と低視界のため丸山までにすることにしました。普段は何も考えずに歩いている稜線も視界がなくなると途端に困難な道のりになります。
丸山までは山荘により旗が設置されています。ホワイトアウトに近い状態でしたが、タイミングによっては写真のように視界が回復し次の旗が見えるので安心できます。
視界がないときはかろうじて見える地形を頼りに経験を活かしながら進みます。





08時46分
丸山登頂。
まさかシーズン最後の登頂が丸山になるとは思っていませんでしたが、相変わらず飛騨側から吹き付けてくる暴風に晒されていると、今日は登ってはいけない日なんだなと実感します。
4月15日。麓は春真っ盛りですが稜線は厳冬期と変わりありません。
しばらく厳しい冬山を体で感じていますが視界があるうちに山荘まで戻ることにします。





08時53分
山荘に戻り始めた直後、一瞬だけ視界が大きく開けました。
その瞬間をカメラに収めることができました。
まるで「天空の城⚪︎ピュタ」のようですね。常に低気圧の中心にある・・・ いや、低気圧はすでに日本の東に進んでいますが何か。
専門天気図と比べるとおそらく雲は3000m以下に出現していると思われます。3000m以上は乾燥していて好天が広がっているのでは? などと考えます。





09時03分
山荘が見える場所まで降りてきました。
いや、そんなに距離はないのですが視界がない中を歩くとなんだか随分と長距離を進んできたかのように錯覚してしまいます。
稜線は吹き溜まり以外、雪は吹き飛ばされている感じがありましたが、写真の吹き溜まりになる場所は新雪時の歩き方に慣れていないと苦労するような状態でした。

山荘に到着し荷物の入れ替えなどをします。
普段なら少し休憩や軽食をいただくのですが、本日は風が強くロープウェイが運休する可能性があるとのことで、足早にロープウェイまで降りることにします。
山荘スタッフにシーズン中お世話になったお礼をして下山していきます。





09時36分
山荘から下山する際、天気が良いと稜線が一望できる場所があります。
今日はちょうど自分が下山するタイミングで雲が開けて稜線の姿が見えていました。まるでお見送りをしてくれているように思えました。
次に積雪期の西穂高岳に来るのは11月末になると思います。冠雪した西穂高岳の稜線とはしばらくのお別れになります。





10時17分
ロープウェイ近くです。
4月中旬とは思えない写真です。
今年は雪が少なく地球規模の異常気象を意識させるような状態でしたが、この時期になって季節が逆戻りしたかのような積雪となり複雑な気持ちです。
この前後から再び雪が降ってきました。
冷たい空気が流れ混むというのは専門天気図から予測できましたが、ここまで冬に逆戻りするとは想像もしていませんでした。


雪が消えるのは7月末になるでしょうか。そうこうしているうちに紅葉の時期になり、つかの間の無雪期は終わり次の冬山シーズンが到来します。

四季を味わえるというのは私たちの世代の特権ですね。



2019年4月14日〜15日



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