夏の穂高連峰縦走(第2部)

明け方に降っていた雨がやみ、うそのように急激に天候が回復したため予定通り北穂高岳に登頂しました。
そして待ち構えているのは涸沢岳までの稜線歩き。
山の地図には危険地帯と書かれている部分。

まずは疲れた体を休ませるべく北穂高小屋へ向かいます。






10時08分
北穂高小屋は富士山を除いて日本一高い所にある山小屋。そんな天井の山小屋で休憩します。炭酸飲料を買い、水を補充します(有料)。
この山小屋のテラスから眺める光景は絶品です。視界があればの話ですが。
残念ながら今日は視界がありません。何も見えません。
体が休まったところで早々に出発します。





10時15分
さきほどのテント場近くまで戻ります。
北穂分岐です。ここから奥穂高岳方面に向かいます。奥穂高岳まで2.3Kmと書いてあります。今日はその手前の涸沢岳までなので、もっと短いですがこの2.3Kmが究極の道のりなのであります。
「よし!頑張るぞ!」気合いを入れます。





10時19分
奥穂高岳方面に行くと短い距離ですが、かなり浮いている岩が多くなります。
上から落ちてくる岩に注意するのは当然ですが、自分が岩を落とさないように細心の注意を払って登って行きます。
こんなところで岩が転がりはじめたら、どこまでも落ちて行ってしまいますからね・・・





10時22分
浮き岩地帯を登りきると(たぶん)南峰に到達します。
完全に雲の中に入ってしまい周囲が何も見えないです。それでも良い事はあるもので、①周囲が見えないので高度感がなく多少緊張が和らぐ、②直射日光に晒される事がないので多少体力的にも楽である。といったところでしょうか。

正しい進行方向に丸印が付いているのですが、結構頻繁に書いてあるので視界が効かなくてルートを見失うという事はありません。





10時24分
南峰から先はまず崖のような岩峰を下りて行きます。写真では伝わらない(というか霧が濃すぎて見えない)ですがかなりの高低差があります。
前回来たときは晴れていたので、かなり印象が違います。
慎重に下りて行きます。





10時29分
ここはかなり緊張する場所です。
両側切れ落ちています。左側に丸印が付いています。多少左側の方が進みやすいです。
短い距離ですが岩にしがみつくようにして越えて行きます。
晴れていたら、崖の下の方まで見えてもっともっと緊張感が高まるんだろうなと思いつつ。





10時32分
危険な岩場が続きます。
ぱっと見ると、一体どこを進めばいいんだろうと思ってしまいますが、よくルートを見つけたもので、丸印をたよりに進んで行けば、死にそうな思いをする事は少ないです。
それでも基本、岩にしがみつくようにして進むようなとことが多いです。





10時34分
下りて行くだけでなく、時にはロッククライミングに近い岩場を登って行く事もあります。
この写真の場所はよく覚えています。ここを登るにはちょっとしたルートファインディング能力が試されます。足を懸ける場所やホールドする場所を間違えると登れません。3年前に最初に訪れたときはもの凄く苦戦した場所です。
今回は無事に一発で登れました。





10時44分
霧でちょっと先が見えづらいです。
実際は崖を下りてすぐに這い上がって、という感じの場所です。
雨が降らない事を祈ります。こんなところで降られたら、レインウェアを着ることさえままならないですから。





10時51分
写真左側の信州方面は霧が薄くなってきていて、涸沢が見えます。
写真にオレンジのヘルメットをした方が映っていますが、昨日の涸沢小屋の宿泊からずっと私と行程が同じで、先ほどの北穂高岳で色々お話しさせていただき、それ以降明日の奥穂高岳までずっと一緒に行動させていただきました。





11時12分
再び崖を上がって行きます。
三点確保を原則として、どこに足を懸けたら良いか慎重に判断しながら登って行きます。
結構疲れてきました。考えたら北穂高岳に登るまでがかなりキツイ行程だった訳ですが、その後のこの稜線ですから疲れる訳です。
繰り返しますが直射日光にさらされていない分、ましなのかもしれません。





11時15分
今度は、ザレている急斜面を下って行きます。
私が最も苦手とするパターンです。「ザレた急斜面」しかも、足を滑らせてしまったら「すべっちゃった♡」で済まされるようなところではありませんので、すごい緊張感です。
何気なく咲いている高山植物が美しいです。





11時31分
最低のコルに到着。
急に霧が晴れて涸沢がよく見えるようになります。
今年はこの時期でもテント場のほとんどが雪で覆われています。この位置から見るとそれが本当に良く解ります。
ここで少し休憩します。先ほどの方と雑談します。どうやら上高地に下りるまで行程が同じようです。





11時47分
さて、休憩が終わって先へ行こうとするといきなり岩登りになります。
相変わらず進行方向の涸沢岳方面は視界がありません。いいんだか、悪いんだか・・・
晴れていれば壁のようにそびえる涸沢岳のラストスパートが見えるはずなのですが。





11時56分
その最後の試練が始まります。
ハシゴやクサリがありますが、それ以外の部分もかなりキツイ岩登りです。ロッククライミングに近いものがあります。こんな所にクサリやハシゴを設置した人はすごいです。
よく、クサリはあるけど使わなくても登れるでしょ、って所ってありますよね。しかし、ここに限ってはクサリがないと登れません。
登れば登るほど高度感が出てきます。ビルの壁を登っている感覚です(って登った事ないですが。)





12時33分
難所は続きます。
こんな所ですが、要所要所にクサリがついているので、クライミングギアがなくても登れます。
写真の部分が本当のラストです。ところがこの部分が一番キツイです。
一番最後のクサリの部分なんかどうやって登れば良いか分からないくらいです。





12時42分
ついに難所をクリア
ここまで来れば涸沢岳はすぐそこです。
かなり息が上がっています。
ゆっくり、ゆっくりと頂上を目指して行きます。
ちなみに写真では岩にバツ印がついていますが、バツ印から先は冬期ルートですのでこの時期は行く事ができません。





12時52分
涸沢岳登頂
視界が全くないですが、達成感で充たされています。
少し休憩します。
2人組の外国人の方が穂高岳山荘側から登頂してきました。私のつたない英語で何とか会話する事が出来ました。彼らは今晩穂高岳山荘に宿泊し、明日横尾まで下りて横尾山荘に宿泊するとのことでした。





13時31分
穂高岳山荘着
受付を済ませ、ビール&カレーを頂きます。

今回の登山で一番難関部分を踏破しました。

今日1日を振り返ってみると、朝は奇跡的な天候の回復で気分上々で北穂高岳に登り、頂上近くからガスに覆われてしまい、稜線はほぼ視界なしといった1日。山の天気はわからないです。ちなみに複数の予報で「曇り」とされていたので、総合的には予報通りといったところでしょうか。

明日は予報では晴れとなっています。

最終日の天候に期待して、今日はぐっすり寝る事にします。



記事は「第3部」へ続きます。





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