冬の西穂(2018年12月29日)


2018年12月27日からニュース等で「最強クラスの寒波」と報道されている通り日本列島を寒気が多い日本海側を中心に大雪となりました。このページを編集中の今でも各地から大雪の情報が飛び込んできます。

穂高連邦は北アルプス南部に位置しており長野県、岐阜県、富山県の県境から少し南側に位置しています。とりわけ西穂高岳は穂高連邦の最南端にあたります。
ご存知のように西高東低の冬型の気圧配置となった場合、日本海側では大雪、太平洋側では晴天となるのが一般的です。このため西穂高岳の稜線では降雪はほとんどないと予測しており各種天気予報モデルでも同じように予報をしていました。ただし風は強い予報で山頂付近の高度では立っていられないほどの暴風が予測されていました。直前には西穂山荘からの情報提供もあり一層確信が持てました。

以上のことから、強風によるロープウェイ運休の場合の第2案まで計画した上で冬の西穂を決行しました。ちなみに今回は山仲間と計8名での山行でした。





12時29分
麓の登山者専用駐車場に到着しました。
今回は8人グループで鍋を計画しており食材の現地購入などの準備をしてから向かったためこの時間でした。
完全に厳冬期特有の「鉛色の空、吹き付ける暴風」といった状態が見て取れます。麓もすっかり雪景色になり正真正銘の「冬」がやってきました。





13時00分
新穂高ロープウェイに無事搭乗。
ここに来るまで、新穂高ロープウェイの運行状況をチェックしながらきました。「大丈夫!!まだ通常運行しているよ!!」といった感じで、これほど運行状況のページを更新したのは多分初めてですね。
ちなみにロープウェイが運休した場合の第2案は八ヶ岳でした。

ロープウェイ乗り場には観光客向けに「どこから来たの?」的なボードが設置されていました。やはりアジアが多いですね。





13時51分
無事に終点の西穂高口へ到着。そして我々が乗った便を最後にロープウェイは運休となりました。まさに間一髪。「今日はこれで運休しますのでこの便に乗らないと戻れませんが、ご予定はいかがですか」とロープウェイスタッフが声かけしてくれましたので、我々の行程を説明します。「それでは、気をつけて行ってきてください」とあいさつした後、ガラガラとシャッターが閉まりました。

もう戻れません。というか戻るつもりは全くありません。

改めて周囲を見てみるとだいぶ積雪が増えています。まあ、例年と比べるとやっと「普通」になったと言ったところでしょうか。
さあ、西穂山荘に向けて出発です。





14時01分
登山センターです。前回と比べて積雪量が増えているのが一目でわかります。
今日は氷点下13℃以上は上がらない予報なので最初からインナーでフリースを着込んでいます。少し汗ばむこともありましたが丁度良かったです。
今回は稜線には出ない、行ったとしても丸山までとしていたので基本装備以外の補助装備は外しています。代わりに食材(飲み物??)や調理器具などの荷物で重くなっています。苦労して担ぎ上げた分だけ美味しくなるんです。





14時19分
もっと視界が無いのかと思っていましたが、意外に視界はあり、写真では木があって写っていませんが西穂山荘も見えていました。むしろ2月頃の厳冬期の方が条件が厳しいかもしれません。
降雪が少なかったためトレースが残っていたのが幸いで、ラッセルを覚悟して全員ワカン所持だったのですが結局使いませんでした。どちらかというと雪質は少し重たいように感じましたが降雪直後のためアイゼンが効かないところが多く、とりわけ山荘直下の急登部分は崩れる雪に苦労しながら登っていきます。





14時58分
12月の初め頃は「今年はどうなるんだろう」と途方に暮れていた雪の少なさでしたが時期が来ればちゃんと積雪するものですね。登山道わきの笹もすっかり雪で覆われており、やっといつもの雪山になってくれました。
明瞭なトレースが付いていますし、目印となる旗が立っているのでルートを外す心配は全くありません。
樹林帯なので基本的には直接吹き付ける風はありませんが、それでも場所によっては時折強烈な風が吹き込んできて、そんな時は厳冬期だなと感じる瞬間です。





15時13分
さあ、大量の食材や調理器具を持っているので山荘直下の急登も最終部分になるとだいぶ疲れてきます。まだほとんど夏道を通りますので直登で短期決戦というよりは迂回しながら優しく登っていくイメージです。
昼ごはんは食べていないのでだいぶお腹が空いています。これは鍋に期待が高まりますね!





15時26分
西穂山荘到着。
だいぶ雪が増えましたね。
右のほうに旗が2本立っている部分は、管理用の出入り口ですがもっと積雪量が多くなるとトンネルになります。テント場にはテントが3張確認できます。さすがに冬山のテントは無理ですね。
実は初めて宿泊した山小屋が西穂山荘なんです。それまで宿泊はテントでした。冬山を始めるにあたって、さすがにテントは無理なので初めて山小屋を利用することにしました。今は秋の繁忙期など特別な場合を除いて山小屋にお世話になっています。





そして心配されていた巨大雪だるまは何とか雪が集まったようです。
雪だるま整形中に運良く立ち会うことができました。これで年末年始に間に合わせることができそうですね(このページを編集中にスリムタイプの雪だるまが完成したとう情報が入ってきました。間に合って良かったです)。





そして鍋鍋鍋。酒酒酒。
一人では絶対にこの物量を持ってくることはできません。これがパーティーで行くことの強みですね。
大変楽しいひと時を過ごすことができました。





07時44分
翌朝です。
予報通り稜線は暴風。山荘の粟澤支配人からの天気解説によると風は昼頃が一番強くなるので、ロープウェイのタイミングは朝一番か午後のどちらかとの話でした。ただ午後は再開させるかどうかまでは分からないとのことでしたので、始発のロープウェイに間に合わせるため稜線には出ずに直接下山することにします。
結局は粟澤支配人の予報通り昼頃一時運休、午後に運転再開となる気象条件になりました。
稜線には出ずに山荘で引き返したことは過去にも何度かありましたが、今回も含め正しい判断だったと思っています。冬山は一歩間違えれば命に関わる事態になりかねません。「登ってはいけない」条件もあるということをわきまえておくべきです。





08時47分
再びロープウェイまで戻ってきました。
ロープウェイは動いていて登りは観光客で満員でした。さすがは年末ですね。31日は天気も回復する予報なので山荘も賑わうことでしょう。

本年最後の登り納めを山仲間と共に過ごせて最高でした。
2018年の登山はこれで終わりますが、まだまだ2019年も続いていきます。



2018年12月29日〜30日










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