冬の西穂2012年2月


ご存知のように西穂高岳を第1峰とし、そこから順番に「2峰」「3峰」・・・と数えて行くと、独標は第11峰、ピラミッドピークは第8峰になります。
今回は条件が良かったので独標から先、10峰と9峰の間「9・10のコル」まで行きました。ここまで来るとかなり緊張感があります。
また、この時期のピラミッドビークやその先は、今の自分の技術や装備では不可能である事も分かり、収穫のある登山であると同時に次の目標が見えてきた登山でもありました。

初日は曇りで視界が悪いので丸山まで登り、すぐに西穂山荘へ引返してきました。ホワイトアウトぎりぎりの危険な状況でしたが、雷鳥と出会う事ができました。その後はいつものように山荘で楽しい一時を過ごし、翌日に備えます。





06時45分
前日の天気からは想像もつかないような日の出です。何て美しいのでしょう!!
本日は0800時頃までは天候がもつとのことなので、この撮影が終わったらすぐに出発する事にします。





06時45分
朝日に輝く峰々です。





06時45分
雲海とは良く言ったもので本当に海のようです。





07時15分
さあ、独標を目指して登山を開始します。昨日とはまるで変わって朝日にあたった雪面がまぶしいです。すかさずサングラスをかけます。
昨日から新たに雪が積もっていますが、先行者数名がいたため楽に登って行けます。トレースははっきりしているのでトレースを外れない限りは雪の中に埋まるような事はありません。





07時28分
山荘前の丘を登ったところで振り返ると、大正池がはっきり見えました。視界良好。ついつい景色に見とれてしまいます。
しかしこの天候は後1、2時間しかもたないので早く先へ行かねばなりません・・・
急げ! 急げ! でも慌てるな(笑)





07時35分
これから登って行く稜線が全部見えます。
ピラミッドビークなんて、日があたっています。「早く登ってこいよ」と言っているようです。
写真のあたりは広い稜線となっており大変歩きやすいです。





07時48分
写真だと分かりづらいですが、岩の表面も雪面も凍結しています。それが太陽に照らされてキラキラしています。
この辺りは、ストックを突き刺そうとしても固くて刺さりません。というのはもう少し先からはピッケルに切り替えなければならないので、ストックを突き刺してデポしてこうかと思ったのですが無理でした。





08時14分
昨年の11月にも同じようなところからこの光景を撮ったのですが、そのときと比べると完全な雪山になっています。それでも今年は雪が少ないのだとか。
昨晩、西穂山荘の方と話した中で、雪が少ないというより降る時期がずれてきている(遅くなってきている)ようで、これから先3月とか4月に大雪がふるものの、この時期は溶けてしまうため、降っては溶け、降っては溶けを繰り返すため全体的には雪の量が多いとは感じないのだそうです。これは温暖化の影響なのだろうか・・・





08時30分
さて、ここから岩稜地帯の始まりです。ご覧のように岩は完全に凍っています。アイゼンの前刃やピッケルをフル活用して慎重に進んで行きます。





08時39分
西穂高岳独標登頂。
天気がまだ大丈夫そうなので、少し休憩して先へ進む事にします。





08時39分
独標まで来るとピラミッドピークから先の「危険な領域」が見えてきます。見た感じ雪山というより「氷の世界」というイメージです。
いつかは、この危険な領域に挑みたいですね。





08時59分
第10峰に登頂しました。
写真は独標の裏側です。独標に立っているのは7峰か6峰辺りまで行って戻ってこられた方ですが、この方から色々アドバイスや注意を頂きました。すごく助かりました。
独標から10峰側に下りてくる私の技術を見て、「(ピラミッドピークは)それだと難しいよ」と教えてくださいました。
簡単な会話をしてから、「行けるところまで行って戻ります」ということで先に進みました。10峰に登る辺りまで見ていてくださり、心の温かさに感激しました。この方とは最後に西穂山荘で再び話す機会がありました。





08時59分
第9峰へは写真手前の岩場を下りて行きます。下りたところは写真を見てお分かりの通り雪庇が張り出しています。
両側は絶壁です。雪庇を踏み抜いてしまったら即滑落です。どこが稜線なのか慎重に見極めながらゆっくり進みます。風がないのが唯一の救いです。





09時08分
第10峰を下り9・10のコルの比較的安全と思われる場所に立ちます。写真は9・10のコルから見た第10峰です。





09時08分
写真左が第9峰です。
ここで真剣に悩みました。第9峰を登るかどうか。
天候がだいぶ悪くなってきていたんです。また、登ることはできても下りるのはその10倍以上大変なので、例え峰一つ分であっても命に関わる事なんです。だって、今いるところは、あの西穂高岳の岩稜地帯だし、そう簡単に戻れるようなところではないですから!!





09時20分
結局、第9峰は登らず戻る事にしました。
写真は独標(裏側)ですが、この角度から見るといかに凄いところかお分かりになると思います。





09時28分
10・11のコルから撮った第10峰です。こちらも負けないくらいの岩登りです。





09時41分
そうこうしているうちに、独標までもどり、さらに岩稜地帯も下り、景色を楽しめる場所まで下りてきました。
このちょっと手前で昨日山荘で一緒だった4人組の方々とすれ違いました。





09時41分
ここは飛騨側を巻いていくのですが、見ての通り失敗は許されないところなので、独標の頂上直下を登る前の入門編といった場所です。





09時50分
奥の方には双六岳(違うかな?)が見えます。





09時51分
写真中央が焼岳です。
この山の噴火により大正池が出現したのは有名な話です。何て言うか西穂に来るたびにロープウェイ乗るので、毎回ロープウェイのお姉さんのお話を拝聴させていただいているので覚えてきました。
この前なんて私一人しか乗客がいなかったのですが、一所懸命説明してくださり、その真摯な姿には感激を受けたのであります。





10時22分
さ、ここまで下ってくればあと一息です。ここでしばらく雷鳥がいないかどうか停滞します。が、一向に現れないのであきらめて山荘へ戻ります。
昨晩山荘でご一緒だったご夫婦はもう一泊されるとの事で色々お話をしました。また、独標付近で出会った方(テント泊をされていました)とも色々な話をしたり、そうしているうちに4人組の方々が戻ってきたりと、和気あいあいとした時間を過ごしました。
4人パーティーの方は自炊だったので調理器具や具材も豊富に持ってらっしゃったのですが、何とこのときはチョコレートを湯煎で溶かして本格的なチョコバナナ&イチゴを作られていました。私もお裾分けを頂きました。とても美味しかったです。

悲しいかな、いつまでも山に居続ける事ができないので、別れを惜しみつつ、ご夫婦はもう一泊、私と4人パーティーの方は下山して行きました。


今回自分で勝手に企画した、自分のためのバースデー登山。本当に良かったです。山を愛する人たちとの出会いって素敵だと思います。とくにこの時期に山に来るというのは本当に好きだからこそですので、思い入れが違うんですよね。出会った方々、大切にしていきたいです。




2012年2月13日〜14日


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