冬の西穂2012年1月


麓では晴れ間が覗いていた飛騨高山方面も、山頂ではピッケルがないと歩けないほどの強風に見舞われ、改めて冬山の厳しさを実感しました。
それでも新穂高口から西穂山荘はでの道は雪が締まっていて、コンディションとしては上々でした。





11時12分
平湯温泉に到着しました。今回は早めの到着だったので、11時40分発の新穂高行きの路線バスまで余裕があります。
左の方に雪山ができています。雪かきの雪が集まって山になったんでしょうね。





13時31分
今回は第2ロープウェイが強風で徐行運転をしました。ま、時間的には大差ないのですが。
で、この時間よりまずは西穂山荘へ向けて出発します。
それにしても前回きたときよりさらに雪が深くなったような気がします。





13時36分
登山道は明確なトレースが付いています。雪も良い感じで締まっているのでとても歩きやすいです。
高度や気温が違うので当然ですが、前回登った丹沢とは雪質がまるで違います。なんて言うか、軽い感じですね。





14時08分
しばらく登ると見えてきました、独票が。
今回は天候からして恐らく独標止まりになると思ったので登山届けには目的地を独標としておきました。この登山届、その場で書くのが面倒なのでいつも少し余分にもって帰ろうと思うのですが、忘れてしまうんですよね。
いつかの記録に書きましたが、最近はメールで登山届けを出す事ができるので便利です。ただし冬山では下山届も必要で、こればかりはメールでという訳にはいきそうにありません。あ、今は携帯電話のメールという手があったか・・・





14時36分
今回、登山道は一部夏ルートから冬ルートに切り替わっているとのことでしたが、どこから冬ルートになったのか分かりませんでした。ただし、明らかに今まで来た事がないと思う部分もあり、そんなときは「あ、ここは冬ルートなんだな」と感じます。
冬ルートでもトレースを外れない限りは雪の中に埋もれる事はありません。





14時49分
ここは、前回、遭対協の方々と合流した「思いで」というより伝説の場所です。写真では分かりづらいですが、結構傾斜がきついです。
ここまで来ればあともう少しです。
トレースがしっかりと付いていると何て楽なのでしょう。

ちなみにここで水分補給をしようと思ったのですが、ハイドレーションパックのチューブの中の水がガチガチに凍っていてそれどころではありませんでした。やはりテルモスに暖かい飲み物を入れとくべきでした・・・  そうだよね、今自分は氷点下10度以下の世界にいるんだもんね。





15時01分
やはり写真では上手く表現できないですね。ここは、西穂山荘のちょっと手前なのですが、蛍光色のリボンや木に取り付けてある案内が、まるで道路の照明のように並んでいてとても鮮やかなんです。これって凄く安心できます。





15時05分
そして山荘が見えてきました。登山開始から約1時間30分。あれ、ガイドブック等では夏の時期で1時間30分て書いてあったような気が・・・  冬ルートで雪の状態が良かったからなのかな?





15時08分
山荘の玄関前には名物の巨大雪だるまが完成していました。えーと、この雪だるま名前がついてるんだよな。なんだったけか??
それにしてもすごい貫禄ですね。





15時17分
おいしい写真を一枚。名物西穂ラーメンです。と〜っても美味しいです。このラーメンのために、あえて麓で食事をとらず行動食で済ませてきました。
ついでに「氷結」と書かれている飲み物も飲みます。





15時28分
一休みできたので、丸山へ向けて出発です。
ここでの気温は氷点下13度。ここから先は森林限界を超えた稜線になるので、体感温度はさらに下がること間違いなし。気合いを入れて出発します。





15時44分
西穂山荘前の丘を登るとすぐに森林限界を超えます。いやー想像を絶する風の強さ。どれくらいかっていうと、何も考えないでボーっと突っ立っていると確実に倒されてしまうほど。今回、ザックは20キロ近くあるのですが、それでもヒヤッとすることが何度もありました。

場所によっては立って歩くことができないので、ピッケルを支えに中腰になりながら進みます。写真を撮るときは両膝を付いた状態でないとまともに撮影できません。





15時49分
西穂丸山登頂。
なんで正面から撮らないかというと、撮れないからなんです。風が強すぎて。
その昔。ファイナルファンタジー3というロールプレイングゲームがあって、風が強くて侵入できない場所がありましたが、まさにそんな感じです。





15時49分
明日登る予定の西穂高岳独標が見えます。
実はこの写真の真ん中ら辺に独標から下りてくる二人組が映っているんですが、ブログにのせるために縮小しているのでブログの写真では分かりません。
この二人組の方と思われますが、今回テント泊をされている方がいました。





15時50分
多少晴れ間が出てきたのですが、夕焼けは期待できそうにないし、夕焼けまで留まるための装備をしていない(ここで防寒具類を取り出して着るのは不可能)なので、すぐに山荘へ戻ります。

さて、本日の西穂山荘宿泊者は、新潟からきたおじさんと、男女3人のパーティーでした。この3人組の方々と大変話がはずんで、結局消灯で真っ暗になるまで色んなことをお話ししました。何と言っても自分と同じ価値基準を持っている方々とお会いするのはうれしいことです。
今、自分は山に登ることが生活(というか人生の)の中心になっていて、下界でそれを正直に話しても中々相手にされないというのが現実なんですよね。でもそれでいいんだと改めて実感しました。だって理解してくれる人が目の前にいるんだからさ。





08時10分
翌朝です。
もし、独標まで登れた事を考えた場合の時間配分を考え、どんなに遅くとも0800時には出発と考えていました。しばらく外の様子を見ていたのですが、この暴風が止む気配がないので、定刻に出発します。





08時37分
稜線上は昨日よりも更に強烈な暴風が吹き荒れていました。丸山山頂からは独標の姿が見えません。ひょっとして独標の頂上は雲の上か? などという甘〜い期待を背負いながら目的地に近づいて行きます。





09時16分
目の前に独標が見えますが、この暴風で岩稜地帯を歩くのは危険と判断しました。今、この瞬間でさえ相当危険な状況です。これから今まで登ってきた道を下りて行く事も考えなければなりません。

この時間をもって西穂高岳独標への登山を中止し、下山を開始します。
本当はもっと写真を撮りたかったのですが、「撮れなかった」というのが正直なところです。





09時42分
時々晴れ間が出てきます。が、暴風は一向に収まる気配がありません。この写真だけ見ると「そんなに風強いのかな?」という印象を受けるのですが、「飛ぶ物はみな飛んで行ってしまった」的な状況なんですね、これは。





09時43分
この暴風を黙々と耐え忍んでいらっしゃる方々です。





09時43分
ほんの一瞬ですが、視界が開けました。大正池方面がかすかに見えました。本当はズームで撮りたかったのですが、この一瞬を逃したくなかったのと手袋だとカメラの操作がしづらいので、ズームなしでの撮影です。
実は、私のカメラ、ズームボタンと動画の録画ボタンがすぐ近くに配置されていて、何度も意図しない録画を撮ってしまったんです。しかも一度録画モードになるとそれを終わらせるのに時間がかかるんですよね。録画モード封印とかできないかな・・・





09時45分
振り返るとピラミッドピークが見えました。ん〜、残念賞ってとこですかね。





09時47分
そして、西穂山荘の屋根が見えるところまで下りてきました。この後、ぱーっと視界が開けたのですが、何と、まさかのバッテリー切れ。
カメラのマニュアルには「寒冷地ではバッテリーの消耗が激しくなります」的なことが書いてあったのですが、はっきり言ってここは寒冷地で済まされるようなところではありません。何て言ったって2月の北アルプスの稜線上ですから。
なので、稜線上からの写真はこれでおしまいです(この後山荘に戻って少し暖めていたら、バッテリーが復活しましたがその頃には再びガスっていました)。



09時50分
山荘に戻ると昨日の3人の方が、丁度出発しようとしているところでした。丸山まで登ったそうです。少しの時間会話して、先に出発されました。

私は眉毛まで凍り付いた体を解凍してから出発しました。高度を下げるにつれ風はおさまり、気持的にも楽になりました。途中、思わぬ雪上のメッセージがあったり、それに書き加えちゃったり、と〜ても楽しかったです。

山を愛する人との出会いっていいですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
2012年1月29〜30日



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