PJパターン



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PJパターン(太平洋・日本パターン)という現象があります。
これは夏季にフィリピン近郊の大気の状態と日本周辺の気圧が密接に関係している(相関関係を持っている)ということです。

フィリピン近海で雨がたくさん降り降水量が多くなることがあります。これを専門的には「対流活動が強い」といいます。このような時には日本付近では太平洋高気圧の勢力が強くなる傾向にあります。

今年は太平洋高気圧の勢力が強く猛暑が続いています(ただし猛暑が続いているのは太平洋高気圧の影響だけではありません)。 ではこの時のフィリピン近海の状況はどうなっているでしょうか。8月11日〜8月16日のアンサンブル予報を見てみます(アンサンブル予報というのは天気予報の手段の一つですがここで細かい説明は割愛します)。

まず、この予報図ですが、赤で塗ってある部分が太平洋高気圧に対応する500hPaの層厚5880mの等値線です。要は赤で塗ってある部分が太平洋高気圧です。日付が先に行くほど輪郭がはっきりしていないのはこれがアンサンブル予報であってスプレットが全て表示されているからです。何のことかわかりませんよね・・・
赤が太平洋高気圧です。

左下の緑で塗ってある部分は降水が予想される部分であり、数字はその確率を示しています。左下の部分がちょうどフィリピン近海になります。

これら6日間の予報を見てまず気がつくことは太平洋高気圧が再び張り出してきて勢力が強くなっていることです。ではこの状態の時にフィリピン近海はどうなっているかというと、やはり降水が90%と非常に高い数値になっており対流活動が強い状態であることがわかります。

このように気象の変化というのは日本付近だけの話ではなく世界規模で連動しています。

今年はラニーニャ現象の夏です。詳しくは別に説明しますがラニーニャ現象が起きるとフィリピン近郊を含む西太平洋からインドネシア付近で対流活動が活発になります。ということはこれまで説明してきたようにPJパターンにより日本付近の太平洋高気圧の勢力が強くなり結果として猛暑の原因になると考えられます。

そもそもラニーニャ現象というのは南米ペルーからインドネシアの赤道付近の異常気象であり日本から遠く離れた場所での事ですが、そこで起きている異常気象が遠く日本にも影響を及ぼしています。このように遠く離れた場所まで影響を及ぼすことをテレコネクションと言います。

なお、ラニーニャ現象とエルニーニョ現象は交互に起こる現象です。今回ラニーニャ現象が顕著に現れていますが、しばらくすると今度はエルニーニョ現象に向かって気象が変動して行くことになります。